高知生物多様性ネットワーク 設立趣意書
名称:高知生物多様性ネットワーク
英名:Kochi Biological Diversity Network
略称:高知BDネット(KBD-net)
私たちが暮らす高知は、海から山まで多種多様な野生生物がすみ、日本の中でも豊かな自然環境に恵まれた地域と言えます。生きもののつながりが生態系を作り出し、人も生きものとして多くの恩恵を受けています。それは、高知は黒潮の恵みを受ける太平洋沿岸部、清流と称えられる四万十川、仁淀川や吉野川、低標高から高標高まで植生が大きく変化する四国山脈など、多様な自然環境の要素に支えられ様々な景観を有しているからと言えます。しかしながら、近年、地球規模の気候変動による生物相の変化や繁殖しすぎた、あるいは反対に減少しすぎて絶滅が危惧される動植物の存在など、高知も例外ではなく、私たちの周囲で生物多様性に関わる多くの問題が生じています。
これまで高知の各地で市民団体やNPO、研究機関などによって野生生物を含めた自然環境の保全活動や調査研究が展開されてきました。それぞれの活動、調査研究は地域に根ざし、時には行政と連携しながら積極的に繰り広げられていますが、地域を越えた団体などの連携、意見や情報交換の場はほとんどありませんでした。
私たちが暮らす高知は海や川、山などの自然環境の要素によってつながっています。その認識から、私たちは、高知をひとつの地域生物圏としてとらえ、野生生物同士のつながりだけでなく、人と野生生物、人と人とをつなぐ活動を展開し、生物多様性に関わる様々な問題について共に考え、知恵を出し合うことにより、次世代に高知の豊かな自然を残していかなければならないと考えます。
2010年に愛知・名古屋で生物多様性条約第10回締約国会議が開催されました。四国では2010年2月に生物多様性国内対話in徳島・香川、同じくin高知・愛媛を開催し、生物多様性に関わる地域の問題を抽出するとともに、市民を含めた様々な主体が会合する機会がありました。また、同年3月には生物多様性の保全に関わる意見や情報交換を目的に、四国4県から市民団体、NPOなどの関係者が集い、緩やかなネットワークとして四国生物多様性ネットワークが立ち上がりました。このような経緯を踏まえ、私たちは高知において人が自然の一員としての役割を果たし、その恵みを受けて暮らしていくことのできる社会的な基盤を構築し発展させることを目的に、生物多様性の保全に取り組む様々な主体の連携を推進し、科学的知見や経験の共有を図るとともに、生物多様性の保全に資する普及啓発、調査研究、保全対策などの活動を実践し支援するためのネットワークとして、高知生物多様性ネットワークを発足することにいたしました。
平成26年5月12日
設立発起人:
石川愼吾(高知大学) 石川妙子(環境の杜こうち)
岩瀬文人(黒潮生物研究所) 上田史(環境の杜こうち)
佐藤重穂(森林総合研究所) 谷川 徹(農と生きもの研究所)
前田綾子(牧野植物園) 谷地森秀二(四国自然史科学研究センター)